高校数学で必ず出てくる「対数」。公式をしっかり覚えれば、複雑な計算もぐっとラクになります。
本記事では、対数の定義(logₐb = c の意味)から始めて、積の公式・商の公式・累乗の公式までを一覧でわかりやすく解説。学校の授業や試験対策、大学入試の基礎固めにも役立ちます。
「対数の意味から公式まで、短時間でマスターしたい」人は必見です。
対数とは?|logₐb = c の意味
「対数」の定義(aᶜ = b のとき logₐb = c)
対数(log)は、指数の逆の考え方です。
「a を何乗すれば b になるか」を求めるのが対数の役割です。
数式で書くと次のようになります。
$$
a^c = b \quad\Longleftrightarrow\quad \log_a b = c
$$
- a … 底(てい):何を掛け続けるかの「基準の数」
- b … 真数(しんすう):対数を求めたい対象の数
- c … 対数(たいすう):a を何乗すると b になるかを示す数
例:
$$
\log_2 8 = 3
$$
これは「2 を 3 乗すると 8 になる」という意味です。
底(a)、真数(b)、対数(c)の用語整理
対数式 logₐb = c に出てくる3つの要素には、それぞれ名前があります。
記号 | 名前 | 意味 |
---|---|---|
a | 底(てい) | 繰り返しかける数 |
b | 真数(しんすう) | 対数を求めたい対象の数 |
c | 対数(たいすう) | a を何乗すると b になるか |
重要なルール:
- 底 a は正の数で、1 ではない
- 真数 b は正の数でなければならない
例:$$\log_5 125 = 3$$は、$$5^3 = 125$$ なので正しい。
読み方と表記の注意点
- logₐb は「ログ a b」と読みます(「a を底とする b の対数」)。
- 底は下付き(小さく)で書くのが数学の正しい表記です。
- 底が 10 のときは「常用対数」と呼び、底を省略して $$\log b$$ と書くこともあります。
- 底が e(ネイピア数 ≈ 2.718…)のときは「自然対数」と呼び、$$\ln b$$ と書きます。
対数の基本公式一覧
対数の計算では、指数法則と同じように3つの重要な公式が使えます。
この3つを覚えると、掛け算・割り算・べき乗をシンプルに計算できるようになります。
積の公式(logₐ(MN) = logₐM + logₐN)
公式:
$$
\log_a(MN) = \log_a M + \log_a N
$$
意味:
掛け算の対数は、それぞれの対数の和に変えられます。
指数法則の「aᵖ × aᑫ = aᵖ⁺ᑫ」に対応する考え方です。
$\log_a M = p$、$\log_a N = q$ とおくと、
定義より
$$
M = a^p,\quad N = a^q
$$
これらを掛けると、
$$
MN = a^p \times a^q = a^{p+q}
$$
よって、$\log_a(MN) = p+q = \log_a M + \log_a N$ となります。
例:
$$
\log_2(8 \times 4) = \log_2 8 + \log_2 4
$$
$$
= 3 + 2 = 5
$$
(理由:$$8 = 2^3,\ 4 = 2^2$$ だから)
商の公式(logₐ(M/N) = logₐM − logₐN)
公式:
$$
\log_a\left(\frac{M}{N}\right) = \log_a M – \log_a N
$$
意味:
割り算の対数は、それぞれの対数の差に変えられます。
指数法則の「aᵖ ÷ aᑫ = aᵖ⁻ᑫ」に対応します。
$\log_a M = p$、$\log_a N = q$ とおくと、
$$
M = a^p,\quad N = a^q
$$
これらを割ると、
$$
\frac{M}{N} = \frac{a^p}{a^q} = a^{p-q}
$$
よって、$\log_a\left(\frac{M}{N}\right) = p-q = \log_a M – \log_a N$ となります。
例:
$$
\log_3\left(\frac{27}{3}\right) = \log_3 27 – \log_3 3
$$
$$
= 3 – 1 = 2
$$
(理由:$$27 = 3^3,\ 3 = 3^1$$ だから)
累乗の公式(logₐ(Mᵏ) = k × logₐM)
公式:
$$
\log_a(M^k) = k \times \log_a M
$$
意味:
べき乗の指数 k は、対数の前に出せます。
指数法則の「(aᵖ)ᵏ = aᵖᵏ」に対応します。
$\log_a M = p$ とおくと、
$$
M = a^p
$$
これを k 乗すると、
$$
M^k = (a^p)^k = a^{pk}
$$
よって、$\log_a(M^k) = pk = k \times \log_a M$ となります。
例:
$$
\log_5(25^3) = 3 \times \log_5 25
$$
$$
= 3 \times 2 = 6
$$
(理由:$$25 = 5^2$$ だから)
この3つの公式は、単体でも使えますが、組み合わせて使うことで複雑な対数計算が一気に楽になります。
まとめ|対数公式をマスターして計算力アップ
定義を押さえる
対数は logₐb = c ⇔ aᶜ = b という関係をもつ数学の道具です。
底(a)、真数(b)、対数(c)の3つの要素を正しく理解することが、公式を使いこなすための第一歩です。
公式を覚えて使い分ける
覚えるべき公式は次の3つだけです。
- 積の公式:掛け算 → 足し算
- 商の公式:割り算 → 引き算
- 累乗の公式:指数 → 前に出す
これらを指数法則とセットで覚えると、忘れにくくなります。
実際の計算に慣れる
公式は暗記だけでなく、実際に手を動かして練習することで定着します。
- 単純な計算問題で公式の使い方を確認
- 複数の公式を組み合わせる応用練習
- 本番形式の過去問でスピードと正確さを磨く
対数公式を自在に使えるようになると、指数や対数を含む計算全般がスムーズになり、入試や定期テストでの得点力が大きく向上します。
対数公式 確認問題
【問題】
次の値を求めなさい。底 a はすべて正の数で 1 ではないとします。
- $$\log_2 8$$
- $$\log_5 125$$
- $$\log_3(9 \times 27)$$
- $$\log_4\left(\frac{64}{4}\right)$$
- $$\log_7(49^3)$$
- $$\log_2 16 + \log_2 4$$
- $$\log_5 125 – \log_5 5$$
- $$\log_3\left(\frac{81 \times 9}{3}\right)$$
- $$\log_{10} \sqrt{1000}$$
- $$\log_2 8 + \log_2\left(\frac{16}{4}\right) – \log_2 2$$
【解答と解説】
- $$2^3 = 8$$より 3
- $$5^3 = 125$$ より 3
- 積の公式:$$\log_3 9 + \log_3 27 = 2 + 3 = \mathbf{5}$$
- 商の公式:$$\log_4 64 – \log_4 4 = 3 – 1 = \mathbf{2}$$
- 累乗の公式:$$\log_7 49^3 = 3 \times \log_7 49 = 3 \times 2 = \mathbf{6}$$
- 積の公式:$$\log_2 (16 \times 4) = \log_2 64 = 6$$
- 商の公式:$$\log_5 (125 / 5) = \log_5 25 = 2$$
- 複合:
まず積 → $$\log_3 (81 \times 9) = \log_3 729$$
729 ÷ 3 = 243 → 商の公式:$$\log_3 243 = 5$$ - 累乗の公式:$$\sqrt{1000} = 1000^{1/2}$$ より
$$\frac{1}{2} \log_{10} 1000 = \frac{1}{2} \times 3 = \mathbf{1.5}$$ - 複合:
$$\log_2 8 = 3$、$\log_2 (16/4) = \log_2 4 = 2$$
$$3 + 2 – 1 = \mathbf{4}$$