対数関数とは?基本の形をおさらい
対数関数の定義(y = logₐx の意味)
対数関数とは、「a を何乗すると x になるか」を表す関数です。
数式で表すと次のようになります。
$$
y = \log_a x \quad \Longleftrightarrow \quad a^y = x
$$
例えば
$$
\log_2 8 = 3
$$
は「2 を 3 乗すると 8 になる」という意味です。
この a を「底(てい)」、x を「真数(しんすう)」と呼びます。
底(a)の条件:a > 0, a ≠ 1
底 a には次の条件があります。
- a > 0
負の数や 0 を底にすると、実数の範囲では指数の計算が成り立たないためです。 - a ≠ 1
a = 1 では $$1^y = x$$ が常に 1 となり、x が変化しないので関数にならないためです。
定義域と値域の確認(x > 0, y ∈ ℝ)
対数関数 $$y = \log_a x$$ では、真数 x は必ず正の数でなければなりません。
そのため 定義域 は次の通りです。
$$
\text{定義域}:x > 0
$$
一方、y は任意の実数をとることができます。
したがって 値域 は
$$
\text{値域}:y \in \mathbb{R}
$$
となります。
対数関数のグラフの特徴|底による違い
a > 1 の場合(増加関数)
底 a が 1より大きいとき、
$$
y = \log_a x
$$
は 右上がりの増加関数 になります。
x が大きくなるほど y も大きくなり、ゆるやかに上昇します。
特徴:
- 単調増加(x の増加に伴って y も増える)
- x=1 で y=0 を通る
- x→∞ で y→∞
- 0 < x < 1 では y は負の値になる
0 < a < 1 の場合(減少関数)
底aが 0 と 1 の間のとき、
$$
y = \log_a x
$$
は 右下がりの減少関数 になります。
x が大きくなるほど y は小さくなります。
特徴:
- 単調減少(x の増加に伴って y は減る)
- x=1 で y=0 を通る(増加関数のときと同じ)
- x→∞ で y→−∞
- 0 < x < 1 では y は正の値になる(増加関数と逆)
共通する性質(x軸との交点・漸近線)
底の値によらず、次の性質は共通です。
- 必ず (1, 0) を通る
なぜなら $$\log_a 1 = 0$$ が常に成り立つからです。 - y軸(x=0)には近づくが交わらない
これは x>0 が定義域のためで、x=0 の手前でグラフは無限に下がる(または上がる)。 - x=0 が縦の漸近線
どちらのグラフも x=0 に近づくと |y| が非常に大きくなる。
グラフの描き方|代表的な点を押さえよう
(1, 0)を必ず通る
対数関数 $y = \log_a x$ は、底の値 $a$ に関係なく
$$
\log_a 1 = 0
$$
が成り立つため、必ず (1, 0) を通ります。
グラフを描くときは、まずこの点を基準にすると形が安定します。
(a, 1)の位置関係
次に重要なのは
$$
\log_a a = 1
$$
という性質です。
これは「底と真数が同じなら、対数は 1」という意味です。
したがって、グラフは必ず (a, 1) を通ります。
- a > 1の場合 → (a, 1) は (1, 0) の右上にある
- 0 < a < 1の場合 → (a, 1) は (1, 0) の左上にある
この位置の違いが、増加関数か減少関数かの見分けポイントになります。
対数の性質を使った他の点の計算例
さらに、次の公式を使えば簡単に他の点も求められます。
- 積の公式
$\log_a(MN) = \log_a M + \log_a N$ - 累乗の公式
$\log_a(M^k) = k \log_a M$
例:a=2の場合
- $\log_2 4 = \log_2 (2^2) = 2 $ → (4, 2)
- $\log_2 \frac12 = \log_2 (2^{-1}) = -1 $ → (0.5, −1)
こうして求めた数点を通るように曲線をなめらかに描けば、対数関数のグラフが完成します。
底の大小によるグラフの比較
a が大きいほど曲線はなだらかになる
底 $a$ が 1 より大きい増加関数の場合、$a$ が大きくなるほど 右上がりがゆるやか になります。
例えば
- $y = \log_2 x$ → 急に上昇
- $y = \log_{10} x$ → ゆるやかに上昇
これは、$\log_a x$ が「a を何乗すると x になるか」という関数であり、底が大きいほど必要な指数の値が小さくなるためです。
a が 0 < a < 1 の場合の形の比較
底が 0 と 1 の間の減少関数も、底の値が小さいほど 右下がりがゆるやか になります。
例えば
- $y = \log_{0.5} x$ → 急に下がる
- $y = \log_{0.1} x$ → ゆるやかに下がる
増加関数と同様、底の値によって「傾き感覚」が変化します。
同じ座標軸上に描くと違いがよく分かる
底の大小によるグラフの違いは、同じ座標上に複数のグラフを描くと一目瞭然です。
例えば、底が $a=2$、$a=5$、$a=0.5$、$a=0.2$ のグラフを1枚の図に描けば、
- a > 1 の増加関数の傾きの違い
- 0 < a < 1 の減少関数の傾きの違い
を比較できます。
まとめ|底の違いで性質がガラリと変わる
a > 1 なら増加関数、0 < a < 1 なら減少関数
対数関数 $$y = \log_a x$$ は、底の範囲によって性質がはっきり変わります。
- a > 1 → 右上がりの増加関数
- 0 < a < 1 → 右下がりの減少関数
まずはこの分類を確実に覚えておきましょう。
グラフの形は底の値で変化
- 同じ増加関数でも、底が大きいほどグラフはなだらかになる。
- 減少関数も同様に、底が 0 に近いほど下がり方がゆるやかになる。
- つまり、底の値が変われば、曲線の傾きや形も変わる。
定義域・値域・通過点は必ず確認
- 定義域:x > 0(真数は必ず正の数)
- 値域:すべての実数
- 必ず通る点:(1, 0)と(a, 1)
グラフを描くときや問題を解くときは、この3つを押さえておくとミスを防げます。