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【高校化学】2種類の核酸「DNA」と「RNA」の違いと覚え方

目次

核酸とは?|細胞内で重要な“情報のもと”

  1. 細胞内にある高分子化合物
  2. DNAとRNAの2種類
  3. ヌクレオチドが縮合結合した「ポリヌクレオチド」

生物の体をつくる「設計図」を担っている物質が核酸(かくさん)です。核酸は、遺伝情報を記録し、それをもとにタンパク質を合成するという、生き物にとって根本的な役割を担っています。高校化学では、「DNA」と「RNA」の2つが登場します。


核酸は「DNA」と「RNA」の2種類

核酸には大きく分けて、

  • DNA(デオキシリボ核酸)
  • RNA(リボ核酸)
    の2種類があります。
核酸の種類主な役割存在場所
DNA遺伝情報の保存と伝達主に細胞の核内
RNAタンパク質合成の補助核内・細胞質(リボソームなど)

DNAは「親から子へ情報を伝える役割」、RNAは「DNAの情報をもとにタンパク質をつくる仲介役」とイメージすると覚えやすくなります。


基本構造はヌクレオチドの連なり(ポリヌクレオチド)

DNAもRNAも、「ヌクレオチド」と呼ばれる小さな単位が鎖のようにつながった高分子化合物(ポリヌクレオチド)です。ヌクレオチドは以下の3つのパーツから構成されています。

  • 糖(五炭糖)
  • リン酸
  • 塩基

糖の種類によって、DNAでは「デオキシリボース」、RNAでは「リボース」が使われます。また、塩基の種類や鎖の構造も異なるため、このあと詳しく比較していきます。

💡【チェックポイント】
「核酸=ヌクレオチドがたくさんつながったもの」と整理しておこう。入試ではこの構造の違い(糖や塩基の違い)を問われることが多い!

DNA(デオキシリボ核酸)の特徴

DNAは、すべての生物がもつ遺伝情報の本体です。細胞分裂やタンパク質合成の設計図として機能し、「親から子へ情報を伝える」重要な役割を担っています。

どこにある?細胞の核
何構造?二重らせん構造
役割は?遺伝情報を伝える

どこにある? → 核の中

DNAは、主に真核細胞の「核」に存在します。ヒトを含む多くの動物・植物の細胞では、核膜で囲まれた核の中に、染色体の形で存在しています。


構造は? → 二重らせん構造

DNAは、二本のポリヌクレオチド鎖がらせん状に巻きついた「二重らせん構造」をしています。

  • 2本の鎖は塩基の相補性によって結合
  • らせんの中に塩基、外側に糖とリン酸が並ぶ

🧠「ハシゴをねじったような形」とイメージすると覚えやすい!


役割は? → 遺伝情報の保存と伝達

DNAは、生物がもつあらゆる形質(性質や特徴)を決定する情報を保持しています。この情報は塩基配列(A・T・G・Cの並び)として記録されており、以下のように利用されます。

  • 細胞分裂時に複製され、次世代へ伝達される
  • 必要なときにRNAを通じてタンパク質合成に活用される

DNAのヌクレオチド構造(糖・リン酸・塩基)

DNAのヌクレオチドは以下の3つで構成されます:

  • 糖:デオキシリボース(五炭糖)
  • リン酸
  • 塩基:A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)

この「塩基」が情報のカギであり、4種類の塩基の並び順が遺伝情報を表します。


DNAの塩基はA・T・G・Cの4種類

DNAの塩基は以下の4種類:

塩基名略号
アデニンA
チミンT
グアニンG
シトシンC

これらは相補的に結合し、以下のペアで2本鎖を形成します:

  • A ⇔ T(アデニンとチミン)
  • G ⇔ C(グアニンとシトシン)

✅「AはTと、GはCと対になる」ルールは必ず覚えておこう!

RNA(リボ核酸)の特徴

どこにある?細胞の核・細胞質
何構造?1本鎖状構造
役割は?タンパク質合成に関与する

RNAは、DNAの情報をもとにしてタンパク質を合成するサポート役を担う核酸です。RNAはDNAと異なる構造・働きをもち、「情報の使い方」を担当する分子といえます。


どこにある? → 核と細胞質

RNAは、細胞の核内と細胞質の両方に存在します。また、RNAには複数の種類があり、それぞれ役割が異なります。

種類働き
mRNA(メッセンジャーRNA)DNAの情報を写しとって運ぶ
tRNA(トランスファーRNA)アミノ酸を運んでくる
rRNA(リボソームRNA)タンパク質合成の場を構成

構造は? → 一本鎖構造

RNAは、1本のポリヌクレオチド鎖からなる「一本鎖構造」です。DNAのように二重らせんにはなりません。


役割は? → タンパク質合成のサポート

RNAの主な役割は、DNAに保存されている情報を読み取り、それをもとにタンパク質を合成することです。


RNAのヌクレオチド構造(糖・リン酸・塩基)

RNAのヌクレオチドは以下の3つの要素で構成されます:

  • 糖:リボース(DNAと違い、酸素原子が1つ多い)
  • リン酸
  • 塩基:A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、U(ウラシル)

糖の違いにより、RNAはDNAよりも化学的に不安定ですが、その分「一時的な情報の伝達」に適しています。


RNAの塩基はA・U・G・Cの4種類(※Tの代わりにU)

RNAの塩基は以下の4種類です:

塩基名略号備考
アデニンADNAと共通
ウラシルURNA特有(Tの代わり)
グアニンGDNAと共通
シトシンCDNAと共通

RNAではチミン(T)の代わりにウラシル(U)を使うのが最大の特徴です。入試でよく「DNAとRNAの塩基の違い」が問われるので、しっかり覚えておきましょう。

DNAとRNAの違いまとめ

DNAとRNAはどちらも核酸ですが、構造・成分・役割の面で明確な違いがあります。受験では「違いを1つ選べ」「共通点を選べ」などの形式でよく問われるため、以下の表でしっかり整理しておきましょう。

項目DNA(デオキシリボ核酸)RNA(リボ核酸)
糖の種類デオキシリボースリボース
塩基の種類A・T・G・CA・U・G・C(Tの代わりにU)
鎖の構造二重らせん(二本鎖)一本鎖
存在場所核(真核細胞)核・細胞質(リボソームなど)
主な役割遺伝情報の保存・伝達タンパク質合成のサポート

覚え方のコツと確認問題

違いを覚えるときは、図や語呂合わせ、具体例を使ってイメージとセットで記憶するのが効果的です。


A・G・Cは共通|Aの後が違う

DNA、RNAの塩基配列は以下の通りです。

  • DNAの塩基:A・T・G・C
  • RNAの塩基:A・U・G・C

まずは「A・G・Cは共通」と覚えましょう。そして、「DNA→T」「RNA→U」というように覚えます。

確認問題(○×形式)

以下の問題で知識の定着を確認しましょう。

Q1. RNAの塩基にはチミン(T)が含まれる。
→ ×(ウラシル U)

Q2. DNAは1本鎖、RNAは2本鎖である。
→ ×(逆)

Q3. DNAとRNAの両方に含まれる塩基は、A・G・Cである。
→ ○

Q4. DNAとRNAでは、糖の種類が異なる。
→ ○(DNA=デオキシリボース、RNA=リボース)

Q5. RNAはタンパク質合成に関与しない。
→ ×(むしろ中心的役割!)

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