衣類や毛布などに使われるアクリル繊維は、軽くて暖かい合成繊維として広く利用されています。
セーターやカーペットなどに使われ、「ウールに似た繊維」として知られています。
このアクリル繊維の主成分は、ポリアクリロニトリル(PAN)という高分子です。
高校化学では
- 原料:アクリロニトリル
- 反応:付加重合
- 生成物:ポリアクリロニトリル
という流れで学びます。
この記事では、
- アクリル繊維の構造式
- 作り方(合成方法)
- 炭素繊維との関係
- 特徴と用途
を高校化学レベルでわかりやすく解説します。
アクリル繊維とは
アクリル繊維は、合成繊維の一種で、主成分はポリアクリロニトリル(PAN)という高分子です。
特徴としては次のようなものがあります。
- 軽い
- 保温性が高い
- 染色しにくい
ポリアクリロニトリルだけで作られた繊維は、結晶性が高く疎水性が強いため染色しにくいという欠点があります。
そのため実際のアクリル繊維では、次のようなモノマーを少量混ぜて共重合させることが多いです。
- アクリル酸メチル
- 酢酸ビニル
これにより
- 染料が結合しやすくなる
- 繊維が柔らかくなる
などの効果が得られます。
このように、アクリロニトリルに他のモノマーを加えて作る繊維をアクリル系繊維といいます。
原料:アクリロニトリル
アクリル繊維の原料はアクリロニトリルという有機化合物です。
アクリロニトリルの構造は次のようになっています。
CH₂=CH−CN
この分子には次の2つの重要な部分があります。
① 二重結合(C=C)
炭素同士の二重結合は反応しやすく、付加重合の原因になります。
② ニトリル基(−CN)
窒素を含む官能基で、アクリル繊維の性質に影響します。
このように、アクリロニトリルは
- ビニル基
- ニトリル基
を持つ分子です。
アクリル繊維の作り方(付加重合)
アクリル繊維は、アクリロニトリルを付加重合させて作ります。
付加重合とは、二重結合が開いて分子が次々につながる反応です。
n,CH_2=CHCN \rightarrow [-CH_2-CH(CN)-]_n
この反応によってできる高分子がポリアクリロニトリル(PAN)です。
このようにして、多数のモノマー(小さな分子)がつながり、長い分子鎖を作ります。
炭素繊維の主原料になる
実はポリアクリロニトリルは、炭素繊維の原料としても重要です。
炭素繊維は次のようにして作られます。
- ポリアクリロニトリル繊維を作る
- 高温で加熱する
- 水素や窒素などを取り除く
すると、炭素が主成分の繊維になります。
この炭素繊維は
- 航空機
- スポーツ用品
- 自動車
など、軽くて強い材料として利用されています。
主な用途

アクリル繊維は次のような製品に利用されています。
- セーター
- 毛布
- カーペット
- 人工毛皮
- ニット製品
まとめ
アクリル繊維のポイントを整理すると次の通りです。
- 原料:アクリロニトリル(CH₂=CH−CN)
- 反応:付加重合
- 生成物:ポリアクリロニトリル(PAN)
- 用途:衣類・毛布・カーペットなど
- さらに加工すると炭素繊維の原料になる
アクリル繊維は、高校化学で学ぶ高分子化学の代表例です。また、炭素繊維などの先端材料にもつながる重要な素材でもあります。